2025-09-04
営業リストをもっと活かす ― DM案内からセミナー集客・多チャネル展開へ
BtoB 営業・マーケティング コラム
営業リストはかつて電話営業に用いられることが多いものでしたが、現在では状況が大きく変わっています。今では多くの企業が郵便DMを中心にリストを活用し、特にセミナー案内を届ける用途が主流となっています。
しかし、せっかくの営業リストをDM発送だけにとどめてしまうのはもったいないことです。セミナー集客を起点に、メールでのフォローやWebフォームでの申込管理などへと連動させることで、リストはさらに多面的に活かすことができます。
本稿では、DM案内からセミナー集客へ、そして多チャネル展開へと広げていく考え方を整理していきます。
目次
営業リスト活用の現在地
営業リストといえば、かつては電話営業に活用されることが多いものでした。担当者がリストを片手に順番に電話をかけ、商談のきっかけをつくるという手法は、長らく営業活動の代表的なスタイルでした。
一方、弊社のリストの利用状況から見ると、現在ではその姿は大きく変わっています。電話専用に使うケースはごく一部にとどまり、むしろ郵便DMを中心に活用する企業が大半を占めています。特に、セミナーや説明会の案内をDMで届ける用途は広く浸透しており、実際に最も多く活用されている手法といえます。
もちろん、企業によって事情はさまざまであり、業界や組織の特性によって異なる活用の仕方も存在するでしょう。しかし、少なくとも弊社のお客様においては、営業リストを郵便DMに結びつける流れが主流であることは明らかです。
この背景には、郵便物ならではの到達力と信頼感があります。メールやオンライン広告では情報が流れやすく、必ずしも確実に相手に届くとは限りません。その点、郵便DMは送り先に実在する相手に物理的に届けられるため、確実に情報を受け取ってもらえる手段として評価されています。さらに、セミナー案内のように明確な行動喚起を伴う内容とは相性がよく、営業リストとDMの組み合わせは今や代表的な施策となっています。
つまり現在の営業リスト活用は、かつての「電話中心」から「郵便DM中心」へと重心が移っているといえます。特にセミナー案内に用いるケースが大きな割合を占めており、企業のマーケティング活動を支える重要な基盤となっているのです。

郵便DMによるセミナー案内の強み
弊社のリストの利用状況からみると、最も多く活用されているのは郵便DMを通じたセミナー案内です。これは単なる告知手段にとどまらず、営業活動の中で確かな役割を果たしています。なぜ多くの企業がこの方法を採用しているのか、その理由を整理してみましょう。
まず大きな強みは、確実に届けられる安心感にあります。デジタル広告やメールでは、相手の受信環境や閲覧状況に左右され、情報が届いても見てもらえるとは限りません。その点、郵便DMは宛名のある相手に物理的に届くため、案内そのものを手に取ってもらえる可能性が高いのです。セミナーのように「日時と場所を確実に伝える」必要のある内容においては、この確実性が大きな意味を持ちます。
次に、相手の記憶に残りやすいことが挙げられます。紙の案内は机の上や手元にしばらく残るため、当日まで繰り返し目にする機会が生まれます。メールのように埋もれてしまうことが少なく、検討の余地を残しやすいのです。この特性は、セミナー参加という比較的ハードルの高い行動を促す際に効果を発揮します。
さらに、セミナーという接点づくりに直結する点も重要です。営業リストの目的は単なる情報提供ではなく、相手と接点を持ち、関係を築くことにあります。セミナー案内を郵便DMで届けることは、その第一歩を確実に踏み出すための有効な方法といえるでしょう。
つまり郵便DMは、セミナーという「出会いの場」へと相手を誘導するための強力なツールです。確実に届き、記憶に残りやすく、具体的な行動へとつなげやすい。この三つの特性が組み合わさることで、営業リストの価値を最大限に引き出しているのです。
DM単独活用の限界
郵便DMは営業リスト活用において非常に有効な手段であり、多くの企業がセミナー案内に用いて成果を上げています。しかし、強みを持つ手法であっても、それだけに依存してしまうと限界が見えてきます。
まず、接触が一度きりになりがちだという点です。DMを受け取った相手は案内を読むものの、その後の行動は本人任せになります。すぐに反応する人もいれば、関心はあるものの後回しにして忘れてしまう人も少なくありません。DM単独では、その後の「後押し」をすることが難しく、せっかくの関心が行動に結びつかない場合があります。
次に、反応状況が把握しにくいという課題があります。DMは確実に届けられる一方で、受け取った相手が実際に内容を確認したのかどうかまでは分かりません。関心を持ったのか、見過ごされたのか、あるいは検討中なのか――こうした情報が得られないため、次のアクションに活かしづらいのです。
さらに、申込から参加までの導線設計にも注意が必要です。現在では多くのDMにQRコードや専用フォームへのリンクが掲載され、相手がスムーズに申込できるようになっています。しかし、もしWebへの導線を入れ忘れてしまうと、相手に余計な負担をかけ、せっかくの関心を逃してしまう恐れがあります。DMを作成する際には、紙面での案内にとどめず、Webへの導線を確実に用意することが欠かせません。
このように、郵便DMは強力な施策であるものの、それ単独で完結させてしまうと「一度の接触で終わる」「反応が見えにくい」「導線設計に抜けがあると機会を逃す」といった課題に直面します。営業リストを最大限に活かすためには、DMの強みを土台としつつ、他のチャネルと組み合わせて展開する視点が求められます。
多チャネル展開への第一歩 ― メールとの連動
郵便DMを通じてセミナー案内を届けることは、営業リスト活用の主流となっています。しかし、案内を送っただけで終わらせてしまっては、参加への確率を十分に高めることはできません。ここで重要になるのが、メールによるフォローとの連動です。
注意すべきなのは、日本で販売されている営業リストの事情として、最初から個人のメールアドレスが掲載されていることは基本的に想定できないという点です。個人情報保護法の内容や個人情報保護委員会の指導を踏まえれば、そうしたリストが適切に流通しているとは考えにくく、活用を前提にするのは現実的ではありません。
メールを効果的に活用できるのは、セミナーの申込や問い合わせといった場面で、相手が自ら入力したメールアドレスを起点とする場合です。つまり、郵便DMは「初回の接触」を担い、そこから得られたメール情報をもとに「二次以降の接触」を組み立てていくのが現実的な流れになります。
この段階でメールを活用できると、いくつかの大きな利点が生まれます。
まず、開催直前のリマインドです。セミナーは日程が決まっているため、参加表明をした相手でも直前に忘れてしまうことがあります。メールでリマインドを送ることで、当日の参加率を高めることが可能です。
次に、補足情報の提供です。DMでは限られた紙面に概要を記載するのが精一杯ですが、メールであれば詳細なプログラムや登壇者の紹介、関連資料へのリンクなどを伝えることができます。相手にとって参加の動機づけを強める情報を届けられるのは、大きな強みです。
さらに、参加後のフォローにもメールは有効です。アンケートの案内や資料送付を通じて関係を継続し、次の接触につなげることができます。DMだけでは実現しにくい「関係性の継続」を、メールが支えてくれるのです。
つまり、郵便DMとメールは対立するものではなく、相互補完の関係にあります。DMで確実に案内を届け、申込を通じて得られたメール情報を活用してフォローを重ねる。この流れをつくることが、多チャネル展開の第一歩といえるでしょう。
セミナー集客を広げるWeb導線
郵便DMとメールを組み合わせることで、セミナー参加への確率を高める流れが生まれます。しかし、そこで完結させずに、Web上の導線を整えることによって、集客の幅はさらに広がります。
まず重要なのは、専用の申込フォームやランディングページ(LP)を用意することです。DMに記載したQRコードやURLから直接アクセスできる形にしておけば、相手は迷わず申込まで進めます。フォーム経由で申込情報を取得すれば、参加者データの整理が容易になり、以降のフォローにも活用しやすくなります。
また、Web導線は情報の拡張性に優れている点も大きな強みです。DMやメールでは紙面や文字数に制約がありますが、Webページであれば詳細なプログラム内容や講師プロフィール、過去の開催実績などを十分に掲載できます。検討中の相手にとって、参加を決める後押しとなる情報を追加で提供できるのです。
さらに、申込から参加までのプロセス管理がスムーズになることも見逃せません。オンラインのフォームに申し込んだ情報をそのまま管理ツールに取り込み、参加確認や当日の受付につなげることで、運営の効率が向上します。セミナー後のアンケート配信や資料提供も、Web導線を経由すれば自動化しやすくなります。
つまり、郵便DMは「最初に届く案内」としての確実性を担い、Webは「詳細な情報提供」と「円滑な申込管理」を担う役割を果たします。この両者をつなぐ導線をしっかり設計することで、セミナー集客は単なる一度きりの施策ではなく、継続的な関係構築へと広げていく基盤となるのです。
営業リストの本当の価値 ― 複数施策のハブとして
ここまで見てきたように、営業リストはかつての電話専用から姿を変え、郵便DMによるセミナー案内が中心的な用途となっています。そして、そこからメールやWebへと展開することで、リストの活用はさらに広がります。
重要なのは、営業リストを「一施策専用の道具」としてではなく、複数の施策をつなぐハブとして捉えることです。DMは確実に情報を届ける、メールはフォローを重ねる、Webは申込や情報提供を担う――それぞれが役割を持ちながらも、起点となるのはすべて営業リストにあるからです。
この視点に立てば、リストの価値は単なる宛名の集合ではなく、継続的な関係構築の基盤として見えてきます。たとえば、DMで接触した相手がセミナーに参加し、その後メールで関係を深め、Webを通じて資料を受け取る。こうした一連の接触が積み重なれば、単発の施策では到達できない信頼関係を築くことが可能になります。
また、複数のチャネルを経由して得られるデータを突き合わせることで、リストの精度そのものも高まっていく点は見逃せません。誰がDMに反応したのか、誰が申込フォームに進んだのか、誰がメールを開封したのか――こうした情報を重ね合わせることで、将来の施策に活かせる「育ったリスト」へと変わっていきます。
営業リストの本当の価値は、「電話専用」でも「DM専用」でもなく、複数施策をつなぐ中心的な役割を果たすことにあります。そこに目を向けることができれば、リストは単なる名簿から、企業のマーケティング活動を支える資産へと位置づけを変えることができるのです。
まとめ
営業リストの活用方法は、時代とともに大きく変化してきました。かつて電話営業が中心だった時代から、現在では郵便DMを用いたセミナー案内が主流となり、多くの企業で実践されています。
郵便DMは確実に届き、相手の記憶に残りやすく、セミナーという接点へ誘導する強力な手段です。しかし、その一方で「一度きりの接触で終わる」「反応が見えにくい」といった課題も抱えています。そこで、メールによるフォローやWebフォームによる申込管理といった手法を組み合わせることで、参加率や関係維持の精度を高めることができます。
営業リストの価値は、単にDMを発送するための名簿として存在するのではなく、複数の施策をつなぐハブとしてこそ最大限に発揮されます。DM・メール・Webがそれぞれの役割を担い、相互に補完し合うことで、リストは「単発で終わる接触」から「継続的な関係構築の基盤」へと変わります。
営業リストを「DM専用」に閉じ込めず、多チャネルで活かす発想を持つこと。それが、これからの営業活動においてリストを真の資産として育てていくための鍵となるでしょう。
