2022-10-28

BtoBのDMでレスポンス率が高いコンテンツが備えている8つの要件

BtoB 営業・マーケティング コラム

オンラインの施策だけでなくDM(ダイレクトメール)も有効な施策とされるなかで、郵送費や印刷費のハードルの前でためらっているBtoB企業が少なくありません。

しかし、DMにはオンラインにはないメリットがあり、成功の可能性を秘めています。

BtoBのDMの効果(レスポンス率)を左右するのは「どの企業の誰に送るのか」と「どんな内容のコンテンツを送るのか」の2つです。

この記事では、コンテンツの内容について、成功するための8つの要件を分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。

効果的なダイレクトメールの8つの要件

自社製品・サービスのポジショニングからターゲット(DMの郵送先)を決めたら、そのターゲットに響くコンテンツを制作する順番になります。

効果的なDMには次の8つの要件が備わっています。

  • 共感
  • ソリューション
  • ベネフィット
  • ストーリー(起承転結)
  • エビデンス
  • 直感性
  • 明瞭性
  • 行動喚起

それぞれについて見ていきましょう。

1.共感

DMでは、まず受け取った企業の課題や悩みへの共感を示すのが大切です。

「多店舗展開でGoogleマップの店舗情報更新に時間と人手を費やしていませんか?」

「展示会をオンラインに移行したいが開催方法が分からないとお悩みではありませんか?」

「テレワークで社内のコミュニケーションが減って、従業員のモチベーションが低下していませんか?」

など、受け手企業の具体的な悩みや課題に共感を示すことで、DMの内容に興味を持ってもらえます。

2.ソリューション

悩みや課題への共感を示したら、そのソリューション(解決策)を提示して、さらに興味を深めてもらいましょう。

「全店舗の情報を一括更新することでGoogleマップ管理を劇的に効率化します」

「リアルイベントからバーチャルへのスムーズな移行を可能にする機能が充実しています」

「気軽なチャットでコミュニケーションを円滑化、情報共有に漏れがなくなります」

など、相手企業の事業課題のソリューションの提示を内容の中心に据えます。

3.ベネフィット

ソリューションによって、どの程度工数削減やコストダウンが可能かのベネフィット(便益)を数字で示しましょう。

「AI自動翻訳機の導入で翻訳会社への外注費用を80~90%削減可能)

「Googleマップの情報管理・更新に要する時間を10分の1に」

4. ストーリー(起承転結)

製品の機能を箇条書きや表で羅列するだけでなく、実務に沿った流れで分かりやすく、ソリューションへの道のりを説明しましょう。

説明は「起承転結」のストーリー仕立てにすることで、説得力がグンと増します。

DMの起承転結は、典型的には次のような構成(流れ)になります。

  • 起:課題・悩みの提示
  • 承:解決策の模索
  • 転:解決策の発見と試行
  • 結:成果

ストーリーのクライマックスは「転」にあるので、ここをドラマチックに盛り上げることが大切です。漫画によるストーリー仕立てで成功したDMの例もあります。

事例:「捨てられないDMをマンガで作る」

オンライン施策では難しい役職層にアプローチ!|ターゲットリスト総合ページ

5.エビデンス

「業界シェア№1」「導入実績25,000社超」「再契約率90%」など、実績やランクを示す数字はできる限り根拠を示して、情報の信頼性を担保しましょう。

BtoCの顧客は王冠マークのついた「〇〇部門 人気ナンバー1」にはすっかり食傷しており、BtoBでも同様の傾向があり、根拠の不確かな数字をあげることでかえって信頼性を弱める恐れがあります。

6.直感性

文章で説明すると長くなることでも、イラストや写真なら一目で理解してもらえる場合があります。DMは文章だけでなく直感的な理解を助けるイラスト、写真、図表を効果的に使用しましょう。

7.明瞭性

説明文は、専門用語の羅列を避けて、分かりやすくかつ論理的な文章で訴求しましょう。むやみにカタカナ用語が多い翻訳調の文章も、意味不明になりやすいので注意が必要です。

たとえば「コンピューティング、人員、アプリをクラウド全体で動的にスケーリングする」のような、主語も述語もカタカナの文章は、もともと専門的な製品(ディープラーニング)の説明だとしても、意味を取りにくいと言わなければなりません。

MA、SFA、CRMなど、英語頭文字の用語を多用するのも要注意です。

とくにBtoBのDMは、担当者だけでなく、決定権のある上司にも理解してもらう必要があるので、できるだけ平明で分かりやすい表現が大切です。

8.行動喚起

DMに必須の要素は、興味を持ってくれた受け手が次のアクションを起こす道筋をつけることです。

  • 行動を喚起する仕掛けには次のようなものがあります。
  • 問い合わせ電話番号の記載
  • 資料請求フォーマットや会社HPへの誘導(URL、QRコード)
  • 展示会、セミナー(ウェビナー)の案内
  • 郵送後の電話セールス、商談アポの獲得

とくに、ターゲットを絞った少数配布のDMは、郵送後に商談のアポを取る電話セールスが有効です。

ターゲットの絞り方について、詳しくは次の記事をご参照ください。

「BtoBのダイレクトメー制作は自社製品のポジショニングから発想しよう」

Webマーケティングにはない郵送DMのメリット

上記の要件を備えたダイレクトメールには、Webマーケティングにはない次のようなメリットがあります。

  • 大量のメールに飽きている担当者に新鮮でリアルな印象を与える
  • ビジュアルを自由に工夫できる
  • 封筒でも訴求できる
  • 回覧性が高い
  • 保存性が高い
  • オンラインのコンテンツと組み合わすことでさらに効果が高まる

大量のメールに飽きている担当者に新鮮でリアルな印象を与える

毎日何十通も来るビジネスメールにうんざりしている人にとって、紙のDMは新鮮な印象を与えます。

真面目な会社員ほど大量のメールを処理するのに手間取ります。仕事で使用しているパソコンに届くメールを開封せずに削除するのは、どこか後ろめたい気がするからです。その結果、メールの仕分けに何十分もかかってしまうことになります。

そんな日常に、by nameで持ち重りのする封書が届いたら、デジタルのメールにはない新鮮な印象を受けるはずです。また、開封して読む印刷物の内容にも、パソコン画面で見る情報よりも、リアルな存在感があります。

ビジュアルを自由に工夫できる

Webデザインよりもはるかに長い歴史を持つ印刷物のグラフィックデザインは、「見せ方」のノウハウも豊富です。

文章(書体)、写真、イラストを効果的に配置して、先述した直感性や明瞭性を実現することが可能です。

封筒でも訴求できる

郵送DMは封筒もコンテンツの一部です。封筒でズバリとターゲット企業の悩みや課題に触れるなど、開封を促すことができます。

封筒に書くキャッチコピーを「ティーザーコピー」と言います。ティーザー(Teaser)は「じらす人」という意味で、ティーザーコピーは早く中身を見たいと思わせ、開封を促すキャッチコピーのことです。

「新人営業のオンボーディングに時間と人手がかかりすぎていませんか?」

「導入後のお客様からの質問が多く、サポートに多大のリソースを費やしていませんか?」

など、開けてみたら良いことがありそうだと思わせるコピーを書きます。

回覧性が高い

DMが受け取った担当者の興味を引いたときに、印刷物なら同僚や上司に「ちょっと、これを見てください」と現物を回覧できるメリットがあります。

会議の席でも回覧が可能で、デジタル情報のURLを共有してもらうより手間がかかりません。

保存性が高い

紙のDMは、ブックマークを忘れると探すのに苦労するWeb情報より保存・再読しやすいメリットもあります。

同じファインリングでも、パソコンに格納した書類より、リアルなファイルに納められた書類の方が見つけやすいと感じているビジネスパーソンは少なくありません。

オンラインのコンテンツと組合すことでさらに効果が高まる

オフラインのDMはオンラインのコンテンツと組み合わせて、多角的に訴求することができます。テレビCMの「詳しくは『〇〇』で検索」と同じ方法です。

見込み客に複数の媒体のコンテンツを見てもらえれば、製品に対する印象が強まり、理解が深まります。より有望な見込み客に育ってくれるのです。

DMを送付した後に「ご覧いただけましたか?」というメールを送るのも有効です。

ダイレクトメールを制作する上での注意点

せっかくターゲットを絞って送付先を厳選しても、肝心のDMの内容がそのターゲットに焦点が合っていなくては、レスポンスは期待できません。

二兎追うものは一兎をも得ず

ニーズが少し異なるA社にもB社にも売りたい、という姿勢ではインパクトのある訴求ができず、どちらも逃がしてしまうことになりかねません。

顧客の立場からすると、似たようなDMが3~4社から届いたが、どれも総花的でどこが違うのかよく分からない、となります。

顧客像をクリアにするためのペルソナの設定は、DM作成においても重要です。

「AもBも」の「も」を多用しない

製品にさまざまの機能があれば、それをすべて伝えたいという気持ちはわかりますが、それでは顧客目線の訴求とは言えません。

初めて製品に接する顧客は「あれもこれも」と言われると、かえって製品のイメージがつかめず、メリットを理解できません。

むしろ、中心となる機能を分かりやすく接明することで、周辺の機能もあるに違いない製品の「実力」を印象づけることができます。

顧客の想像力を信じて繫多な説明を避け、ポイントを明瞭に説明することが大切です。

まとめ

レスポンス率の高いDMを作るための8つの要件を解説しました。

ポイントをおさらいすると、次のようになります。

  • 顧客の事業課題への共感が示されている
  • 悩みや課題へのソリューションが提示されている
  • コストダウン、工数削減などのベネフィットが明示されている
  • 機能の羅列ではなく、実務に沿ったストーリーで分かりやすく説明されている
  • 数字、情報の信頼性が担保されている
  • 文章だけでなく、直感的な理解を助けるイラスト、写真、図表が効果的に使われている
  • 専門用語の羅列ではなく、文章表現が論理的で明瞭性がある
  • レスポンスの道筋をつけて行動喚起している

多くの要件があるようですが、これらが目指すところは「この製品によって解決できる顧客の課題」を分かりやすく訴求することです。この一点にピントを合わせれば、費用対効果の高いDM制作が期待できます。

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