2022-05-17

プッシュ戦略とプル戦略の違いとは?具体例や使い分けの方法【徹底解説】

BtoB 営業・マーケティング コラム

プッシュ戦略は、企業側から積極的に商品の宣伝・販売等を行う戦略です。一方でプル戦略は、顧客の購買意欲を引き出すことで、指名買いを狙う戦略です。場面によって最適な戦略は異なるため、バランス良く使い分けることが重要です。プッシュ戦略とプル戦略の違いをくわしく解説します。

プッシュ戦略とプル戦略の違い

はじめに、プッシュ戦略とプル戦略の意味や概要を簡潔に解説します。

プッシュ戦略

プッシュ戦略とは、積極的に商品のプロモーションや販売活動を行うマーケティング戦略です。「push(押す)」という単語から分かる通り、押しの戦略と言えます。たとえば製造業者であれば卸売業者や小売業者、小売業者であれば最終消費者に対して、プッシュ戦略を行うことになります。

プル戦略

プル戦略とは、顧客の購買意欲を引き出すことで、指名買いを狙う戦略です。「pull(引く)」という単語から分かる通り、引きの戦略と言えます。プッシュ戦略と同様に、プル戦略でも自社製品・サービスを販売したい対象に対してプル戦略を行います。

プッシュ戦略とプル戦略では、結局何が違うのか?

前述した内容をまとめると、プッシュ戦略とプル戦略の違いは以下のとおりです。

  • プッシュ戦略:企業がお客さんに対して積極的にアプローチする
  • プル戦略:お客さんが主体的に商品・サービスを購入するように仕向ける

プッシュ戦略によるマーケティングとは

この章では、プッシュ戦略によるマーケティング活動の具体例や活用場面、実施のポイントを紹介します。

具体例

プッシュ戦略に基づくマーケティング施策としては、主に以下のものが挙げられます。

製品・サービスの販売対象(企業・消費者)に対する主な施策

飛び込み営業(訪問販売)

直接見込み客である消費者の自宅や企業のオフィスを訪問し、商品やサービスを売り込む施策です。基本的には、アポイントを取らずに訪問します。

ダイレクトメールの送付

自社製品の情報が記載されたカタログやチラシなどを、見込み客である企業オフィスや消費者の自宅に送付する手法です。文章や写真を工夫することで、魅力的に情報を伝えることが可能です。また、一度にたくさんの対象に情報を発信できる点も魅力です。

テレマーケティング(電話営業)

見込み客に電話をかけて、電話上で商品やサービスを売り込む施策です。相手との双方向的なやり取りを行える点が魅力です。

通販番組

テレビ番組で、商品やサービスを視聴者に売り込む施策です。基本的には、BtoC向けの施策として活用されます。

販売規模の拡大

広義の意味では、販売規模を拡大することもプッシュ戦略の一環として考えることができます。具体的には、店舗やオフィスの数を増やしたり、人員を拡充したりする施策があります。

自社製品の流通や販売を担う卸売業者や小売業者に対する主な施策

販売員の派遣

自社製品を販売している小売店に、優秀な販売員を派遣する施策です。派遣した販売員によって直接的に売上向上の効果を狙えるだけでなく、売り込み方を別の販売員に伝えることで、店舗全体での売上増加も期待できるでしょう。

販売リベートの提供、強化

販売リベートを卸売業者や小売業者に提供し、自社によって有利な販売環境を整える施策です。たとえば、自社製品の売り場スペースを従来よりも拡大する施策などが該当します。

最適な活用場面

プッシュ戦略に基づくマーケティング施策は、以下4つの場面で有効です。

製品やサービス自体の認知度が低い(革新的なサービス、新製品など)

自社が取り扱っている製品やサービス自体の認知度が低い場合、プル戦略によって集客を図ることは難しいでしょう。なぜなら、知らない商品やサービスの広告や紹介コンテンツを見たところで、ほとんどの人は興味を示さずにスルーするからです。

認知度が低い製品・サービスを販売したいならば、顧客との双方向的なやりとりを通じて、製品・サービスの良さを理解してもらうことが重要となります。

自社ブランドの知名度が低い

たとえ製品・サービスの認知度が高くても、自社ブランドの知名度が他社ブランドと比較して低い場合には、プル戦略の効果は薄まってしまいます。

たとえば展示会に知名度がないブランドの製品を出展する場合、知名度が高い大手・優良企業の出展ブースにばかり人が集まり、自社製品の良さを知ってもらう機会を十分に得られない可能性が高いと考えられます。

他社よりも知名度が低いと、そうでない場合と比べて顧客の購買意欲を喚起することは難しい傾向があります。したがって、自社製品の良さや使い勝手などを積極的にアピールする方がおすすめです。

他社製品との差別化要素が少ない

他社製品と差別化できる強み(デザイン性の良さなど)がないと、広告やWebメディアでの訴求力が弱くなります。そのため、多大なコストをかけても十分な効果を得にくい可能性が高いです。

差別化要素が少ない製品に関しては、プッシュ戦略によって売り込むことが得策です。具体的には、優秀な販売員や営業マンが商品の良さを魅力的に伝えたり、親切丁寧な対応によって顧客からの印象を高めたりする施策が考えられるでしょう。

生産財のマーケティング

生産財とは、製品の製造に活用される製品です。具体的には、工作機械や木材、金属部品などが当てはまります。したがって、生産財を購入するのは主にメーカーなどです。

生産財の購入には、主に以下の特徴があると言われています。※1

  • 主に法人などの組織が購買する
  • 製品を購入する側が豊富な専門知識を有している
  • 費用対効果をもとに、合理的に購買するかどうかを判断する

上記の特徴があるため、プッシュ戦略に基づいた施策(特に人的販売)が適していると言われています。購買の担当者と直接対面で営業し、自社製品の使い方やベネフィットなどを根拠となるデータと併せて伝えることで、購買意欲を高める効果が期待できるでしょう。

※1 グロービス経営大学院 ― 生産財

実施する際のポイント

プッシュ戦略に基づくマーケティング施策を実施する際には、以下のポイントを押さえることが重要です。

  • 製品・サービスの販売や営業を行う人材のスキル向上を図る
  • 顧客に対して、製品・サービスの良さを魅力的に伝える
  • マーケティングオートメーションやCRMを活用し、販売員や営業マンの労力を削減する(生産性を高める)

プル戦略によるマーケティングとは

次に、プル戦略によるマーケティング活動の具体例や活用場面、実施のポイントを紹介します。

具体例

プル戦略では、見込み客や潜在顧客に「商品を買いたい」、「サービスを利用してみたい」、「お店に行ってみたい」などと思わせることが重要です。そのためには、まずは自社製品・サービスに興味を持ってもらえるような情報の発信が不可欠です。

具体的なマーケティング施策として、以下のものが挙げられます。

展示会への出展

特定の業界や製品分野に特化した展示会に出展し、自社製品・サービスの使い勝手や費用対効果、ブランドの特徴などをアピールする施策です。基本的に展示会には、その業界・製品に興味や関心を持つ層が集まるため、購買意欲の高い見込み客を確保しやすいといえます。

セミナーの開催

自社でセミナーを開催し、見込み客や既存顧客にとって役立つ情報や、自社製品・サービスに関する詳細な情報を伝える施策です。近年では、 Web上で開催する「ウェビナー」が、場所に縛られずに実施できる施策として注目されています。

Webメディアによる集客

Webメディアを運営し、そこで自社製品の情報や見込み客に役立つ情報を発信し、集客を図る施策です。効果を実感するまでに時間を要するものの、作成したコンテンツ(記事など)が資産となることで、安定的に集客・見込み客育成の効果を得られるメリットがあります。

広告全般(インターネット広告やテレビCMなど)

インターネット広告やテレビCMなどの広告を出稿し、製品・サービスの宣伝を行う施策です。短期的に効果を得られるものの、他の施策と比べて多額の費用が発生する可能性があります。

SNSによる情報発信

インスタグラムやツイッターなどのSNSのアカウントを作成し、そこで自社製品・サービスの情報や見込み客に役立つ情報を発信する手法です。発信した情報が見込み客や既存顧客の間で拡散された場合、低コストかつ短期間で幅広い対象に情報を知ってもらえます。

メルマガ配信

メルマガを配信し、見込み客や既存顧客に有益な情報を伝える手法です。主に、見込み客の購買意欲を高める活動(リードナーチャリング)で活用されます。

最適な活用場面

プル戦略に基づくマーケティング施策は、下記4つの場面で効果的です。

製品やサービス自体の認知度が高い(商品やサービスの使い方が顧客に知られている)

製品やサービスの認知度が高い場合、顧客は商品・サービスの使い方や基本的なベネフィットは理解しています。

そのため、自社製品・サービスが他社と比べて優れている点や、ターゲットとしている顧客の好みに合っていることなどを、広告や展示会などで魅力的に伝えることが効果的です。

自社ブランドの知名度が高い(ブランド力が高い)

自社ブランドの知名度が高い場合、そうでない場合と比べて広告やSNSなどによる情報発信がターゲットとする顧客の目に留まりやすくなります。

そのため、自社ブランド名や商品の外観、印象に残りやすいキャッチコピーなどを発信する情報に含めることで、効率的に集客や購買意欲向上などの効果を得られる可能性があります。

他社製品との差別化ができている

他社製品との差別化ができている(≒デザインや性能などに強みがある)ほど、プル戦略の効果は高まります。なぜなら、広告などで情報を発信する際に、他社と比較した自社製品・サービスの魅力が目立つようになるからです。

一目で自社製品・サービスが他社製品と比べて優れていることがわかれば、それを見たお客さんは「他よりも良さそうだから、試しに使ってみよう」と考える可能性が高いと言えます。

消費財のマーケティング

消費財とは、不特定多数のエンドユーザー(個人の一般消費者)が購入する製品です。具体的には、トイレットペーパーなどの日用品や食品、家電などが当てはまります。

消費財の購入には、主に以下の特徴があると言われています。※2

  • 生産財と比べて、購入する顧客層の特性(住んでいる地域や年齢など)が分散している
  • 顧客が商品やサービスに対して、十分な知識を持っていない場合がある

以上の特徴があるため、消費財のマーケティングでは、プル戦略に基づく施策が効果的であると言われています。具体的には、商品・サービスの費用対効果を合理的に伝えるよりも、「ワクワク感」などの感情を引き出せる宣伝や対象製品を使用している場面をイメージしてもらえる宣伝を行うことが効果的です。

※2 グロービス経営大学院 ― 消費財

実施する際のポイント

プル戦略に基づくマーケティングでは、以下のポイントを押さえた上で施策を行うことが重要です。

  • マーケティングリサーチを徹底し、市場や顧客に対する理解を深める
  • リサーチの結果を踏まえて、どの顧客層をマーケティングの対象とするかを慎重に検討する
  • ターゲットとした顧客層の特性に応じて、施策や宣伝で活用するコンテンツの文章等を決定する
  • 顧客が自社製品を知ってから購入するまでのプロセスを入念に設計する

プッシュ戦略とプル戦略はバランス良く使い分けることが重要

マーケティングの目的や顧客層、ビジネスモデルなどの要因によって、プッシュ戦略とプル戦略のどちらが適するかは変わってきます。したがって、どちらかの施策に偏るのではなく、バランス良く使い分けることが重要です。

ITツールの販売ビジネスを例にすると、自社の知名度が高い場合や他社と比べてサービス自体の優位性が高い場合などは、自社メディアによる集客などのプル戦略が良いと考えられます。

一方で会社自体の知名度が低い場合や最新のツールを取り扱う場合などは、ダイレクトメールによって見込み客に商品の魅力を詳細に伝えるプッシュ戦略が適しているでしょう。

上記のように、状況に応じて戦略を使い分けたり、上手く組み合わせたりすることで、マーケティング施策の効果を高める効果が期待できます。

まとめ

プッシュ戦略とプル戦略の理解を深めることで、状況ごとに最適な施策を実行し、効率的に結果を出せる可能性が高まります。今回紹介した内容を参考に、マーケティング施策を考えていただけますと幸いです。

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