2020-01-06

販売促進とマーケティングの違いを2つの事例から簡単に解説

BtoB 営業・マーケティング コラム

販売促進とマーケティングの違いがよく分からない——。もし、このような疑問を抱えたまま営業活動を続けている場合、販売の機会ロスやブランドロイヤリティ弱体化に繋がる恐れがあります。

販売促進とマーケティングは似たような概念ではありますが、根本的な考え方や利用可能な施策はまったく異なります。両者の違いをしっかりと理解しておくことで、消費者ニーズに最適な施策を講じることが可能です。

この記事では、まず販売促進とマーケティングの違いを解説し、その後にそれぞれの事例や利用可能な施策を紹介していきます。

販売促進とマーケティングの違いは「観点」

販売促進とマーケティングは、どちらも似たような意味があることから混同されることも珍しくありません。しかし、両者には明確な違いがあります。商品やサービスをより効率的に販売するためには、この違いをしっかりと理解しておくことが必要です。

販売促進とマーケティングには、「観点(主体の捉え方)」というところに違いがあります。

販売促進 マーケティング
商品をより多く売る活動(商品主体) 消費者の購入を喚起する仕組み作り(消費者主体)

販売促進では、商品を主体として販売数や売上を増加させる施策を行います。商品の値引きやプロモーション活動が代表例でしょう。

一方のマーケティングは、消費者の行動様式に合わせて企画を練り、ナーチャリング(顧客育成)の段階に合わせて最適な施策を提示する方法です。販売促進が単発的な施策であるのに比べ、マーケティングは販売の仕組みそのものを考えていく点に違いがあります。

販売促進とマーケティングの違いが簡単に分かる2つの事例

販売促進とマーケティングの違いについて、概念の説明だけでは分かりにくいと感じる方も多いでしょう。そこで、販売促進とマーケティングの違いが分かりやすく現れた、2つの企業事例を紹介していきます。

サントリーの販売促進事例

販売促進が効果的に実施された事例として、サントリービールの「家庭向け神泡(かみあわ)プロモーション」があります。

神泡プロモーション

(出典:サントリー公式サイト

「神泡」は、ザ・プレミアム・モルツ向けのオプション器具です。缶の上部に取り付けてビールを注ぐことにより、非常に口当たりの良い「美味しい泡」を作り出すことができます。

もともとあったザ・プレミアム・モルツという商品の魅力を、「神泡」によって強く訴求することで販売促進に繋がっています。キャンペーン開始からわずか2週間で1.7倍もの販売数を記録し、大成功した販売促進といえるでしょう。

テスコのマーケティング事例

イギリスの大手スーパーであるテスコは、子会社「Home Plus」を通じて韓国で珍しいキャンペーンを行いました。地下鉄のプラットフォームに、バーチャルスーパーを開設するという施策です。

バーチャルスーパー

(出典:聯合ニュース

テスコが注目したのは、韓国人の働き方という行動様式でした。韓国のビジネスマンは長時間労働が多く、通勤時間も長時間に及びがちという傾向にあります。そのため、買い物はできるだけ短時間に、そして効率的に行いたいと考える人も少なくありません。

そこで、通勤中に商品が手軽に買えるよう、駅構内にバーチャルスーパーをオープン。列車が到着する壁一面にバーチャル商品を掲示し、消費者はQRコードを読み取ることでオンラインショッピングできるという仕組みです。

このキャンペーンの結果、Home PlusのEC売上は3ヶ月で2.3倍になり、登録ユーザー数も76%増えています。消費者の行動様式に着目し、販売の仕組み自体を大きく変更したことから、マーケティングの代表的な事例といえるでしょう。

オンライン施策では難しい役職層にアプローチ!|ターゲットリスト総合ページ

販売促進の施策一覧

販売促進は商品の特徴やメリットに着目し、顧客に向けてその良さを徹底してアピールする手法です。

商品の魅力がダイレクトで顧客に伝わりやすく、相手がその価値を認めたときは大きな販売数・売上アップが見込めます。一方で、あくまで商品を主体に施策を講じていくため、マーケティングに比べて施策の数は限定的です。

販売促進に活用できる施策は次の通りです。

  • 店頭での値引き、クーポン配布、サンプリング
  • イベントキャンペーン
  • 広告出稿
  • SNSプロモーション
  • 展示会、セミナー活動
  • ホワイトペーパー(解説書や比較表など)、リーフレット配布

上記のように、商品の魅力を積極的にアピールすることが多いため、プッシュ型の販売手法といえるでしょう。

しかし、膨大な種類の商品やサービスが存在する国内市場では、プッシュ型の販売手法だけで販売効率を高めていくには無理があります。次の章でお伝えするマーケティングと併用し、プッシュ型とプル型をうまく組み合わせていくことが重要です。

マーケティングの施策一覧

マーケティングは商品単体ではなく、消費者の行動様式を起点に、自社が提供できるすべてのリソースをどのように有効活用できるかを考えます。

認知から集客、リード獲得、ナーチャリング、契約獲得と、販売計画の各フェーズに合わせてさまざまな施策を採ることができるため、仕組みを構築するまでに時間と手間がかかります。しかし、販売促進のような一時的な顧客獲得ではなく、消費者との関係性を深め、ブランドロイヤリティを向上できる点がメリットです。

マーケティングに活用できる施策は次の通りです。

  • コーポレートサイト運用
  • メディア運用(ブログやオウンドメディアなど)、コンテンツ配信
  • 外部メディア出稿
  • プレスリリース
  • SNSによるカスタマーリレーションシップの強化
  • SEO、広告出稿
  • 導入事例作成
  • CRM(顧客管理システム)導入
  • MA(マーケティング・オートメーション)導入
  • インサイドセールス導入 など

上記の通り、マーケティングの施策は幅広い種類があり、アイデア次第で拡充も可能です。

販売促進が商品を中心とした施策を行うのに対し、マーケティングは顧客との関係性を重視した施策が多いことが分かります。それだけに、マーケティングは、消費者の積極的な行動によって商品を売るプル型の販売手法ともいえるでしょう。

販売促進とマーケティングの違いを明確にして最適な施策を

販売促進とマーケティングの違いをしっかりと理解していなければ、顧客に対して最適な施策がとれません。ニーズに対するちぐはぐな販売活動は、販売効率を悪くするだけでなく、顧客との関係性強化においてもマイナスの影響を与えます。

また、今回の記事で、販売促進はプッシュ型、マーケティングはプル型の傾向が強いということも分かりました。どちらか一方ではなくバランスよく販売手法を併用していくことで、今まで以上に販売数や売上を伸ばすことへと繋がります。

 

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